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 模倣犯 宮部みゆき著 新潮文庫


昨年末12月はじめあたりから読み始め、文庫本刊行が二月に分かれている事を途中で知って、ジリジリしながら次の刊行を待っていたこの作品・・・4、5巻はクリスマスくらいに買って、年内に読みきってしまった件の作品です(笑)
読み終わった直後は、壮大な物語の余韻にじっくりと浸っていた記憶があります。
文庫本だと、1巻で事件が被害者や一般の人々の視点から語られ、2、3巻で事件の犯人側から語られ、4、5巻で一旦収束を見せた事件のその後といった感じで話は進んでいきます。
まず、この構成が面白いなーと思いました。
以前にも、被害者側、犯罪者側両面から描かれた事件という作品は読んだ事があるけど、宮部氏の筆力で描き出されるとスケールがまた一段と大きいのね〜
1巻を読んだあとの2、3巻のインパクトは、たぶんそれだけで読んだ時よりずっとあった気がします。
読んでいて、これほどドキドキしたのは久々の事です。
4巻では、裏を見ている者としてはものすごくじれったくて、こいつの正体を暴きたい!という気持ちでいっぱいでした(笑)
で、結局5巻でその願いは叶えられたわけですが、ちょっとここは不満だったかな。
奴に対する包囲網が狭められる辺りを、もう少しじっくりとジワジワという感じで描写して欲しかったかな〜と。
何というか、5巻は少し急ぎ足だったような感じがしてます。
まあそれでも、一番最後の幕引きはとてもあざやかで、奴を象徴するような結末でした。
そういえば、登場人物の中では、有馬のおじいさんが一番印象に残っています。
彼の強さとふと見せる弱さ・・・とっても素直で人間らしくてでもすごく信念があって、こんな人物が周りにいたらきっと素敵だろうな〜と思いながら読んでました。
ものすごく力のこもった作品、ぜひ堪能あれ。


そういえば、読んでいる途中にふと思っていたんだけど、これ2、3巻を抜かして読んだらどんな感じになるんだろう・・・?
時系列的には、1巻から4巻はつながっているので、意味は通じるのかなあ。
そうしたら、犯人当ての作品にもなるのかしらとふと思ったわけですが、でも細かい所でたぶん??という箇所が出てきそうな気も。
誰か試した人とかいたら面白いかなーとちょっと思っただけです、ハイ。