ちょっと前の読み物

 火の粉 雫井脩介著 幻冬舎文庫


元裁判官の梶尾勲の隣に、過去に無罪判決を言い渡した武内という男が引っ越してきた。
戸惑いを感じつつも、人当たりのいい武内と親密な隣人関係を築いていく梶尾一家。
しかし、彼が現れるのと時期を同じくして、梶尾家の周りで不可解な事件が起こり始める。
−まさかあの武内が何か関係しているのか?−
武内の雰囲気にごくたまに嫌なものを感じる事があるものの、一度は無実と信じた彼への疑いを強く持つ事ができない梶尾。
武内は犯罪者だったのだろうか。彼ら一家を襲った数々の事件はなぜ起こったのか。
事態は二転三転していく・・・そして、最後に明かされる驚愕の結末とは?


どんな仕事でも、プロとしてやっている限りそれ相応の責任が伴うものだけど、裁判官という仕事は特に、人一人の一生を決めてしまう力を持っているわけで、その重圧はものすごいんだろうね・・・
自分の責任で犯罪者を世に放ってしまったかもしれないなんて、考えただけでも重圧に押しつぶされそうな気がします。
それでも、その時の自分を信じてやるしかないんだろうけどね。
最近、こういう家族崩壊ものの作品を読む機会が多いんだけど、人の心の隙をつくような卑劣な行為ってホント許せないね〜まあ、もし自分がやられたらあっさり騙されそうな気がするからというのも、理由の一つだけど(笑)
作品としては、ちょっと昔の読み物なので細かい所は忘れてるけど、ごくごく平和な日常に静かに忍び寄る悪意がなかなかリアルに表現されていて、そういう意味で怖い話だったなーという記憶が。
この作者の雫井氏の作品は、確か2、3冊読んだような気がするけど、結構好きな作品が多かったかな。
これから徐々に、他の作品に手を伸ばしていこうかと思ってます〜