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 家族狩り 第一部〜五部 新潮文庫 天童荒太

巣藤俊介−美術の道を目指しながら高校に勤める教員。必要以上に生徒に関わろうとせず、恋人との関係も惰性で続けている。
馬見原光毅−過去に息子を自殺同然の事故で無くし、妻は心の病に倒れ、娘は父親がすべての原因と彼を攻め続ける・・・それでも自分の道を突き進む刑事。
氷崎游子−児童心理に関わる仕事をする女性。子供達の幸せを願いつつも、仕事であるがゆえの制約に歯がゆさを感じながら、仕事にすべてを注いでいる。
それぞれが様々な傷を抱え、自分に出来ることの少なさを実感しながら生きてきたこの三人の人生は、ある一つの事件を通して交わりをみせていく。
一見一家心中に見える数々の事件・・・すべての家庭は崩壊の危機に瀕しており、世間も時代を象徴するかのようなこれらの事件を、当然の結果として納得していた。
しかし、その裏に何かを感じ取った馬見原は、周りからの圧力もものともせず、事件を追っていく。一方、ある女生徒の起こした騒動により知り合う巣藤と氷崎であったが、二人も次第に馬見原の追う事件に巻き込まれていくのであった。
家庭崩壊も珍しくないこの世の中で人々が出来ることは何か?生きるとは、家族とは何か?
それぞれのつらい過去、そして現在を抱えながら、懸命に生きることを貫き通す人々を描いた巨編。


刊行当時、本屋に月一冊ずつ増えるこの本を横目で見つつ、買おうかどうかすっごい迷った記憶があります。でも結局買わなかったのは、たぶん先が気になってしょうがないだろうから、全部出てから揃えようと思ったからでしょう。
で、運良く古本屋で発見して即購入となったのでした〜
とにかく、始めはもう何言ってるんだこいつら!という感じで、登場人物たちに苛立つ事しばしば(笑)そして、ブルーになる事もかなり多かったですねー
一気に読んでしまったので、どの辺が何冊目かほとんど覚えてないのですが、三部目くらいからかな?徐々に救いが見えたり人々の心境が変化したりしてった感じがします。
事件の方は、何となく見える動機に少し納得に近いものを感じたり、でも実際は身勝手な行動だよなあと考えたり・・・世相をはっきりと表してるなあと感じました〜
あとがきによると、どうやらハードカバーと内容が違うらしく、そっちは買うわけにはいかないけど(高いから(笑))図書館でも行って読んでみようかな。
ごく最近、永遠の仔も文庫化されたので、そっちにもいつかチャレンジしてみよう♪