先日の読み物

 凛冽の宙 小学館文庫 幸田真音

会社、そして上司にすべてを捧げ、堅実にビジネスを営んできた男、坂木。
また一方、坂木とは仕事でもプライベートでも因縁があり、金のためなら弱者を食い物にすることを厭わない男、古樫。
真っ向から対立する二人の人生を、坂木はむしろ積極的に遠ざけようとしていたはずだった。
が、運命の大きな渦は二人を巻き込み、互いの運命を絡め取っていくのであった・・・
バブル崩壊後の不良債権処理に絡む、日本経済に巣食う病巣を浮き彫りにした作品。


うーむ、全体的に読みやすかったなーという印象。
ただ、思い返してみると、話の焦点がどこだったかイマイチピンとこない感じもします。
(話の要約が非常に書きにくかった・・・)
会話文はテンポもよく、少々専門的な経済関係の知識もすんなりと理解できて良かったんだけど、地の文の方は平易に書こうとしてか、繰り返しが多くてくどい感じが少々。
その割には、話の焦点があちこちに飛んでしまい、しかもそのすべてが中途半端なところで途切れていて、消化しきれていない感じもしました。
私としては、一つ一つの題材についてもっと徹底的に突っ込んでいって欲しかったかなーと。

題材としては面白かったし、話に引き込む力は感じるので、あとは好みかもね。
まあ、「狭く深く」よりも「広く浅く」を目指したものという見方もあるから。
ガチガチの重い小説が苦手な人には、ちょうどいいくらいなのかもしれません。