本日の読み物

 超・殺人事件 推理作家の苦悩  新潮文庫  東野圭吾

推理小説完成の舞台裏を、これでもかというくらいブラックに描いた短編集。


ちょっと、名探偵シリーズ(というのか?)に似た雰囲気を感じました。
推理小説家も人の子、色んなしがらみの中で小説を書いているとは思うけど、ここまで言ってしまうと身もふたも無いだろうというくらい、こきおろされてます。
トリックというか結末は、ある意味予想通りの期待を裏切らないものですが、実際にありそうだからこそ怖いんだろうな。(てか、あるのでしょうか?)
始めの方のトリックを扱ったものより、シュールな笑いを潜ませているものの方がお気に入り。
私の中で一番ヒットだったのは、超長編小説殺人事件。
いやーやればできるもんなんだなあ、長編って。
あれを読んだあとなので、何やら他の小説を読むときも変な読み方をしてしまって困ってます。
あと、ショヒョックスくんの書評にもかなり笑わせてもらいました。


 朝霧  創元推理文庫  北村薫

大学生活に別れを告げ、社会人として第一歩を踏み出した「私」。
そんな「私」の穏やかな日常生活の中にも、たくさんの謎が秘められているのである。
短編三篇。円紫さんシリーズ第五弾。


かなり好きなシリーズの一つで、文庫本発売をいつも首を長くして待ってます。
ただ、シリーズ第四弾辺りから、理系人間で文学系の知識ゼロの私には結構ハテナな引用なんかがたくさん出てきていて、本当の意味でこの小説を楽しめてないかもなー
たぶん同僚の国語科講師の皆様だったら、また別の感想があるんだろうなあと思うと、ちょっと悔しいかも。あー時間があればその辺も勉強したいな。

上とは打って変わって、こちらはのんびりまったりな気分で読みました。
とは言っても、人が生活していく中にはやはり嫌な事も切ない事も理不尽な事もあるわけで。
このシリーズは、それらの感情について、ただ排除して見えないようにするのではなく、真っ向から向かい合って最後にはちゃんと救いを見せてくれるのです。
なんというか、ふっと力を抜いて気持ちを楽に出来る雰囲気がお気に入りなのです♪
まあ、主人公の成長ストーリーでもあると思うのですが、ちょうど同じ年代だからね、共感する部分も多いのかも。