先日の読み物

 ぼんくら(上)(下) 講談社文庫 宮部みゆき

江戸深川の通称鉄瓶長屋に起こる、小さな事件。
一つ一つの事件はごく日常的なものであったが、それがいくつも重なっていくにつれて、ぼんくらな同心*1・井筒平四郎の心にふと疑問が沸き起こる。
本当にこれらは偶然なのか?この長屋には何かが起ころうとしているのではないか?
そうこうするうちに、大きな事件の渦に人々は巻き込まれていくのであった・・・
短編5編(プロローグ?)+長編+短編(エピローグ?)のちょっと特殊な構成。


予想通り、一気に読んでしまいました〜面白かった♪
何気ない日常の中から、何気なくない事件がじわじわと染み出してくるように表面化してくる感じが、結構怖くてうまいなーと思います。
登場人物がまた絶妙☆ちょっと特殊なとこはあるけど、ごくごく普通に身の回りにいそうな人々で、その普通の人々が自分の役割をうまーくこなすことで、一つのチームのように事件に挑んでいく・・・・
RPGという小説もあったけど、これも一つのロールプレイング(役割を演じる)かなー
なんというか、物語の持っていき方も登場人物も、細い糸がよりあわさって大きな太い糸を作っている、言い換えれば、一つ一つはそう大したことなくても集まることで大きく強いものになるという方向性かなと。
それってある意味、すべての真理だよね。
だからこそ、宮部さんの小説はすんなりと心に入り込んでくるのかなと思います。

*1:現代で言う警察官かな?特にこの人物の場合は地域一帯を見回って人々の安全を守る役割・・・すなわち交番のお巡りさん。