先日の読み物

 破線のマリス 講談社文庫 野沢尚

ある報道局の人気ニュース番組で映像編集を担う、一人の女性がいた。
映像の虚実の間を縫って創り出される彼女の画は、非常に刺激的で視聴者に多大な影響を及ぼすものだった・・・たとえそれが、客観という現実から離れていようとも。
そんな彼女の元に、一本の告発ビデオがもたらされた事から事件は始まった。
自らの直感と編集技術に、信念を持って臨んだがゆえに彼女が陥った罠とは?そして、虚構の中に隠された真実とは?


少し前に読んだ「砦なき者」の前の物語なんだけど、読み始めて思った。
うわー、やっぱこっちを先に読んでから「砦なき者」を読めばよかったな〜
そうしたら、あっちの感想はまた違ったものになった気がする。
まあ、時間見つけてまた読み直してみます。

それにしても、野沢氏の小説はこれで三冊目なのですが、かなーりファンになりました♪
前にも書いた気がするけど、とにかく私は小説を読むときに、その映像や心情を頭に浮かべながら物語に浸るのが好きなんだけど、それがはっきりと浮かんでくるのが氏の作品。
あまりにリアルに迫ってきすぎて、怖いくらいです。
フィーリングが合っているというのもあると思うけど、表現力は並ではないと思う。
実際、この主人公の瑤子に同調しすぎて危険だったからね、一時期。
しかしやはり、現実で映像に携わる人間だからこそ書ける物語だな〜とは思う。
だからリアル過ぎるのかな??
まあミステリー的に見たら、あらすじの中の「超一級のフー&ホワイダニット*1」は言いすぎな感じもするけどね、垣根をとっぱらって一つの小説と見たときは、断然お勧めです!

*1:Who&Why done it 誰がなぜそれを成したか。ミステリーではよく使われる言い回し。