だいぶ前の読み物

 呼人 講談社文庫 野沢尚

少年の体は、12歳で成長を止めた・・・そこから、彼の闘いは始まった。
次々と大人として巣立っていく同級生を、彼はどんな気持ちで見送っていたのか。
半分大人、半分子供として腫れ物に触るように扱う社会を、彼の目はどう見ていたのか。
心も体も少年のままで、純粋な子供のままで生きていくことははたして幸せなのか・・・
かつての親友たちが厳しい現実に打ちのめされる姿を、やりきれない気持ちで見つめる呼人。
そしてまた、自らの出生の秘密に敢然と立ち向かう彼が、最後に見た真実とは?
彼の心に救いは訪れるのであろうか・・・


いやーなかなかに重かった・・・
誰もが一度は考えることだと思うんだよね、このまま大人になりたくないなーとか、ああ、子供の頃に戻りたいーとか、「永遠の命」について。
じゃあ、それが実際出来たとして、どうなるんだろう?
この主人公の呼人を見て、そのリアルが急に身近に迫ってきて、さてどう感じる?
この小説を読んで一番感じたのは、その問いかけだったかも。


よく、大人になると子供の頃の純粋な心を無くしていくって言われることあるけど、それは事実だと思う。やはり社会で生きていくには、甘いことばかりじゃいられない。
まあもちろん、大人でも純粋に生きてる人はいると思うし、自分だってすべてなくしたわけじゃないと思うけどね(・・・ちょっと自信なさげ)。
とはいえ、完全に純粋なままに生きられる人はある意味幸運だろうなー
じゃあその人の人生がすばらしかったかというと、それはまた別問題なんだろうね。
結局、その人生を生きてきた人がどう感じてどう行動して、そしてどう今に繋げているかなんだろうなーと思うから。
だから、外の人間が何を言っても、それは単なる後付なんだろなってね。
元々人の人生なんて、価値をうんぬん言うもんじゃないだろうしねー
と言うことで、今を精一杯楽しんだ者勝ち!ってことで♪


この主人公の呼人だって、精一杯その時その時を生きて、そして楽しんでるんだと思う。その生き方はきっと間違いじゃなかったって思いたい。
でもやはり、普通じゃない自分が苦しくて、最後まで自分の体や出生の秘密を追い求めずにはいられないんだよね・・・
普通ってなんだろう?当たり前ってなんだろう??
色んなことをまた、とりとめもなく考えさせられたのでしたー
あ、ちなみにこの小説、万人向けではない感じするのでご注意!